耳より!SPかわら版

感情によるトラブル回避術

第2回:怒りは第2次感情

"No.2 怒りは第2次感情 今回は「怒りとは何か」について考えていきましょう。これまで「怒り」に対してどんなイメージをお持ちでしょうか?「怒りは悪いもの、真っ赤で爆発するイメージ、真っ黒でネガティブな感じ」と答える方が多くいますが、皆さんはいかがですか? 特に、働きながら子育てを頑張ろうとする、または実際頑張っている母親は「罪悪感を呼び起こす怒りは悪である」と感じる方が多数いらっしゃいます。 感情トラブル回避術 怒りは人間であれば誰もが自然に感じる感情・喜怒哀楽の1つにすぎません。前回もお伝えしましたが、怒りを感じること自体は悪いことではないのです。例えば、もし周囲に「最近楽しいと感じたことが全然ないの」という人がいたら、「この人、大丈夫かしら?」と心配になりませんか? それと同様に「最近怒りを感じることが全然ないの」という人がいたら、その人は自分の怒りの感情にフタをして無意識に押さえ込んでいる可能性があります。怒りに気づかないか、見ない振りをしているかはわかりませんが、いずれにしてもその状態を長く放っておくと、自分の身を守ることができなくなり身体にジワジワと影響が出てきます。 世の中には穏やかな医師、看護師、薬剤師、患者もたくさんいます。そうした人は周囲に何かを伝える際に、怒り以外の感情を用いることが多いため穏やかに見えるのです。けれども、穏やかだからといって怒りを全く感じないということではないのです。 怒りは、突然、空から降ってくるものでも地から湧いて出てくるものでもなく、第2次感情と位置づけられます。では第1次感情は何でしょうか?ここで心の中でコップをイメージしてください。そのコップには、私たちが日々感じるマイナスの感情、例えば、仕事で疲れた、寝不足で辛い、時間に間に合わないかもしれないとの焦りといった感情が注ぎ込まれていきます。そしてコップがこのようなネガティブな第1次感情(不安、痛み、悲しみ、苦しみ、寂しさ、絶望、悲観など)でいっぱいになった時に、子どもが駄々をこねたら。。。その瞬間にコップからあふれた出た感情が「怒り」として表面化し、目の前の子どもに当たってしまうのです。コップの容量が大きければ多少のことでは怒りは発動しませんが、容量が少ないとちょっとしたことですぐにイライラしてしまうのです。 一般的に子どものコップは小さいので、嫌なことがあればすぐに怒りが表に出て、怒鳴る、叫ぶ、泣く、叩く、蹴る、モノに当たる、黙り込むといった行動として現れます。子どものこうした「怒り」に伴う行動は自己表現の芽であり、その後の自己主張にもつながっていきますので、一概に悪いことだと抑えつけないでほしいのです。その行動の奥に隠れている子どもの気持ち、例えば、悔しくて怒鳴る、お腹が空いて叫ぶ、わかってもらえなくて悲しくて泣く、自分のモノを取られたことが嫌で叩いたり蹴ったりする、羨ましくてモノを壊す、恥ずかしくて黙り込むといった第1次感情に思いを馳せていただきたいと思います。 お薦めしたいのは、1)コップの容量自体を大きくすることと、2)コップに溜まったネガティブな感情を早い時期に流すことです。具体的にどうするかについては、次回のコラムで一部お伝えします。 決して怒ってはいけないと言っているのではありません。この点は誤解される方が多いので強調したいのですが、怒りは私たち自身を守る・防衛するために必要な感情なので、怒りを感じること自体は悪いことではないのです。ただし、怒りの感情に振り回されると、家庭や仕事の上で支障が出たり損したりすることがあるので、そうならないためにも怒りの感情のコントロールが重要なのです。特別なスキルや才能は要りません。誰でもトレーニングを続ければ、自分の怒りと上手に付き合うことができるようになります。ご安心下さい。 そして「怒る・怒らない」の基準を持つためには、まず怒りの感情がどういうものなのか、仕組みや構造について理解し、自分の感情とうまく付き合うことが重要になってきます。そこで次回は「怒りとは何か」についてより詳しくお伝えします。 "

2015-04-14

"社団法人日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントシニアファシリテーター 須田愛子 "